従来の外科手術は医師が自分の手を使いながら患者さんの体の中の臓器や組織を切ったりつないだりしながら行っていました。しかし、医療器機の開発や改良によって、腹腔鏡下手術という技術が発達してきました。

この手術は、お腹に5〜10mmの小さな穴をいくつか開けて、手の代
わりになる器具（鉗子類）を操作することで手術を行う侵襲の少ない
手術です。

現在多くの種類の手術がこの腹腔鏡下手術で可能となり、患者さん
の術後の痛みなどをかなり軽減させることができるようになってきま
した。

さて、ロボット手術はこの腹腔鏡下手術の延長上にあります。ただしロボットが自動的に手術を行うというのではなく、3Dカメラの映像を見ながらリモートコントロールする医師の手の動きをロボット鉗子が忠実に再現してくれるというものです。そこに手ぶれ防止など人間の弱点をカバーする機能も加わり、ロボット手術の分野で最も普及しているのが、「ダ・ヴィンチ」（da Vinci）システムです。ダ・ヴィンチは、1999年にアメリカのIntuitive Surgical社によって開発され、2006年には2世代目となる「ダ・ヴィンチS」が、2009年には最新モデルの「ダ・ヴィンチSi」が登場しました。世界標準の最新モデル「ダ・ヴィンチSi」は2013年2月より日本でも導入が開始され、竹田綜合病院にもこの「ダ・ヴィンチSi」が設置されています。

この機械は、図3のように3つの部分からなっています。�@は患者さんの体の中で
鉗子類を動かすロボット、�Aはそのロボットの「手」の動きを医師が操作する場所、
�Bは手術を映し出すモニターです。

医師は�Aに座って両手を動かすことで、ロボット
の「手」はこの動きを正確に再現します。ロボットの
「手」には人間の手のようにくつもの関節があるの
で、医者の手の動きを正確、かつ繊細に再現する
ことができるのです。（図4）

この動きは、通常の腹腔鏡下手術の鉗子では
不可能です

重要なことは、手術の内容そのものは従来の手術と同じであり、また、ロボットは医師の手の動きを
正確に再現するだけで、ロボットが自動で手術をするわけではないことです。さらに従来の腹腔鏡下
手術と異なる点がもう一つあります。それは、医師が手術をする時に見る画面が3次元像（いわゆる
3D像）で見ることができるということです。手術をしている医師は術野（手術している場所）の奥行き
を正確に読み取ることができるため、従来の腹腔鏡下手術をより安全に行うことができます。

また、手術は、手術ロボットの訓練を受けた資格のある医師のみが行うことができます。

このようにダ・ヴィンチを用いたロボット手術は従来の手術では不可能であったことを可能にしました。3Dによる広い視野での手術を可能とし、鉗子の動きも極めて繊細となっています。ロボットが手術を支援してくれることで、患者さんへの体の負担が軽減でき、かつ安全性がより向上する可能性があります。

この手術方法は10年以上前から外国では盛んに行われています。今後は、日本でも幅広く利用されるものと期待されているシステムです。

現在、保険診療で認められている手術は、泌尿器科・前立腺癌摘出術のみとなっており、その際の費用は高額療養費制度適用で45，000円〜160，000円（所得によって異なる）程度となっております。この手術以外で、ロボット手術をご希望される場合は、医師または外来医療スタッフにお気軽にお問い合わせください。

ロボット手術は、最先端のテクノロジーを用いた手術と考えられます。日本での歴史は浅いですが、海外では、多くの手術がこの方法で行われることから、竹田綜合病院でも研鑽を積み多くの方々に、たくさんのメリットを提供できる様、努力して参ります。

不明な点につきましては、各科・外来医療スタッフまでお尋ねください。

竹田綜合病院　泌尿器科外来

TEL：０２４２−２９−９９０５（13：00〜16：00）まで

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