Medical Essay

今月のMedical Essayは

NEW!       リハビリテーションの紹介

 

 

  今回はリハビリテーションについて概念的なお話しをさせていただきます。

リハビリテーション」はご存知のとおり外来語で、日本語では「機能回復訓練」「社会復帰」などと訳されています。病院で入院されている患者さんが、力をつける為に毎日リハビリに励んでいるといった場合は、「機能回復訓練」とイメージされるでしょう。しかしこれらの訳は「リハビリテーション」のある一面の訳で、実際のところもっと広い概念で言い表されています。それは「全人間的復権」という言葉です。無論、一言で言い表される性質のものではありませんが、これまでの訳に比べはるかに壮大で且つ重みのある言葉として受け止められると思います。そもそも「リハビリテーション」の語源は、re-(再び)habilis-(適した、fitation-(〜にすること)という語から成り立っており、「再び適したものにすること(to make fit again)」を意味します。さらに、この言葉はこれまでの歴史的な背景や当時の問題等から、「リハビリテーションとは、人間たるに相応しい権利・資格・尊厳・名誉などを回復すること」とされ、すなわち「全人間的復権」として言い表されるようになりました。この「全人間的復権」ですが、より具体的に言うと、病気やけが等で障害を有した方に対し、その人らしい生活に再び戻る(帰る・変える)よう関わる(アプローチする)ことと言えます。この障害を専門的に見て関わる分野がリハなのです。では障害とはどのようのものでしょうか。障害は大きく分けて、以下のように分類され定義されています。

 WHO国際障害分類(機能障害、能力障害および社会的不利の国際分類)より

          International Classification of Impairments, Disabilities, and Handicaps (ICIDH,1980)

1機能障害(Impairments

心理的・生理的または解剖学的な構造または機能のなんらかの喪失または異常

2能力障害(Disabilities

 人間として正常と見なされる方法や範囲で活動していく能力の(機能障害に起因する)なんらかの   

制限や欠如

3社会的不利(Handicaps

機能障害や能力障害の結果として、その個人に生じた不利益であって、その個人にとって(年齢・性別・社会文化的因子からみて)正常な役割を果たすことが制限されたり妨げられたりすること 

 例えば、

 脳卒中の患者さんの障害を見ると、運動麻痺や感覚障害を有し(機能障害)食事 や排泄といった日常生活をひとりで遂行することができなくなり(能力障害)、こ れまでの仕事や地域での役割を担うことができなくなる(社会的不利)、といった 障害構造となります。これらの障害を有している方および家族に対し、医師・看護 婦をはじめ、リハの専門職といわれる理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語 聴覚士(ST)・義肢装具士(PO)や、ソーシャルワーカー等が関わることになります。ちなみに国際障害分類は、本年「生活機能・障害および健康の国際分類(International Classification of Functioning, Disability and HealthICF2001)」と改定され、これまでの障害の捉え方に健康の概念とそれを支える環境因子(Environmental  Factor)が加わり、意味合いとしても個人の生活をよりポジティブに捉えるようなものになりました(詳細は紙面の都合上割愛させて頂きます)。当院でも、医療という現場で、「全人間的復権」を目指し、微力ながらリハビリテーションを実践しています。

  次回は、当院のリハビリテーション科について紹介いたします。

 

 文責:リハビリテーション科

作業療法士  五百川和明                                 NEW!

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「 Up To Date 」とは?

 

 

  「UpToDate 」は「臨床に遭遇する疑問に答える」ことを主眼に、1992年バートン・ローズ博士の専

門Nephrologyで最初に作られた文献のプログラムです。 その後 Pulmonary and Critical Care,

 Endocrinology and Diabetes , Cardiovascular Medicine  など、10の内科領域をカバーしたプログ

ラムとなっています。(産婦人科・小児科も 1年以内に含まれる予定) 

 「 UpToDate 」は想定される5000の臨床上の「トピックス」(疑問)に対し、その「解答」を用意し、診

療の場で臨床像から抽出された疑問に対し簡便に信頼できる答えを得るためのコンピュータ・ソフト

です。

 「 UpToDate 」を使用することで、診察室で患者を前にしながら簡便かつ信頼できる情報検索が可

能となり、文字通り 「いつでもどこでも誰でも」 「 EBM 」が実施できるというわけです。

 「 UpToDate 」がインターネットで試験使用ができます。


  「UpToDate 」社ホームページ(http://www.uptodate.com) 

            

 ところで、最近「EBM」(Evidence-based Medicine)の関連図書や記事を良く目にします。

そんな中、日本医事新報 No4040、2001年9月29日号で「EBMは21世紀には相応しくない」

と書かれた記事がありました。EBM風潮の中で一味違った内容に出会いました。

 

引用資料:医学界新聞2451号より

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