福島県会津若松市にある地域密着型総合病院

放射線科紹介　―医療関係者・学生の皆さまへ―

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ごあいさつ

放射線科 課長
鈴木 雅博（岐阜医療技術短期大学卒）

放射線科のホームページを閲覧いただきまして、ありがとうございます。
当科の歴史は、昭和３年の医院開業と同時にケノトロン型レントゲン装置を設置したことから始まります。専門的な知識や技術が求められる現代においては、高度な知識・最新技術の習得に向け研鑽し日々努力しながら、医療に従事する専門職として、成長し喜びを感じられる組織造りに励んでいます。
また、医療安全はもとより、放射線被ばく低減に対する取り組み、医療情報管理・機器管理に努めながら、信頼されるヘルスケアサービスを提供し患者さんに安全に安心して検査・治療を受けていただきたいと考えています。

各モダリティーの紹介

一般撮影

【装置の紹介・特徴】

当院には３つの撮影室があり、いずれもFPDを用いて撮影を行っています（図1-1）。

FPDを採用したことで、以前のCRと比べ画像の確認にかかる時間が大幅に短縮され、撮影毎のカセッテ交換の手間がなくなりました。その結果、検査効率が向上し、患者待ち時間の短縮にも繋がっています。

画像においては、広いダイナミックレンジを有し、多くの情報を得ることができます。また、CRに比べ量子検出効率が高いため、低線量で撮影を行うことが可能となりました。撮影においては、各臓器線量の認知を行ったうえで撮影に臨んでいるため無駄な被ばくを最小限に抑えた撮影を実施しています。 また、DRLs2020を活用し、線量の最適化に取り組んでいます。

【特殊検査について】　

一般撮影装置と透視撮影装置を併設した撮影室では、FPD搭載型X線TV装置を設置しています（図1-2）。

当装置は透視検査だけでなく、トモシンセシス、スロットラジオグラフィの撮影も可能です。

トモシンセシスとは、一回の撮影で数十枚の連続断層画像によるボリュームデータが得られる画像技術です。利点として、CTと比較しても被ばく線量は少なく、人工関節置換術後に対する撮影においては金属近傍のアーチファクトが少ない画像を提供することが可能です（図1-3）。

スロットラジオグラフィは、スリット状に絞った照射野でX線管球とFPDとを平行移動させながら撮影し、得た画像をつなぎ合わせることによって長尺画像を再構成できる技術です。スリット状に照射野を絞ることによって散乱線の影響を低減でき、さらに垂直に近い状態でX線が入射することによって広い画像領域でも歪の少ない画像を提供することができます（図1-4）。そのため、整形外科領域での骨の正確な計測が可能となり、術前検査などに有用です。

CT検査

【装置の紹介・特徴】

当院では、現在2台のCT装置(256列・64列)が導入されています（図2-1）。

256列のCT装置では、1回転で16cmの範囲を撮影することができます。このワイドカバレージが最も力を発揮する部位の１つが心臓であり、冠動脈の走行や狭窄などを検査する心臓CTでは必要な範囲を1回転で撮影することができます。以前は約10秒かかっていた撮影時間が、最短0.28秒と高速になったこともあり、心臓の動きによるアーチファクトを最低限に抑えた画像を得ることができます（図2-2）。

これまでの装置では難しいとされていた不整脈症例や高心拍症例でも検査精度が向上し、臨床への大きな貢献が期待されます。また被ばくの面においても、以前は10秒間ほどかけて撮影していたのに対し、この装置では1心拍の必要なタイミングでのみX線を照射して撮影することができるため、大幅な被ばく低減が可能です。

また、当院の装置には逐次近似応用再構成「ASiR-V」が搭載されおり、診断の妨げとなる画像ノイズを低減することができます。この機能を利用することで、少ない線量でノイズの少ない画像を得ることができ、被ばく低減につながります。

このように、撮影の高速化や被ばくの低減などにより、患者さんの負担を軽減しながら質の高い検査を行っています。

【特殊検査について】

■CT透視機能
CTでは通常の撮影や3D画像の作成だけでなく、CT透視という機能を利用した手技も行っています。CT透視では、CTで得られる断面像をリアルタイムで見ることが出来ます。当院では椎体圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術や、CT下生検を行っています。

経皮的椎体形成術は、圧迫骨折を起こした胸椎や腰椎などにセメントを注入し、痛みを緩和する治療法です。まず、患者さんにCTの寝台に腹臥位で寝て頂きます。目的とする椎体付近の撮影を行い、穿刺部位や皮膚から椎体までのルートを決定します。穿刺を行い、CT透視を見ながら椎体の中まで針を進めていきます（図2-3）。針がしっかりと椎体に入っていることを確認し、液体状のセメントを椎体に注入していきます。セメントは椎体内で速やかに固まり、骨が強化されます。セメントの注入が終了したらもう一度撮影を行い、セメントが椎体外に漏れていないことを確認し、手技は終了となります（図2-4）。

　　　　　　
（図2-5）はCT下肺生検の画像で、生検針を用いて病変組織の採取を行います。組織は病理に提出し、疾患の識別を行います。椎体形成術と同様に、最初に目的部位の撮影を行い、針の穿刺部位を決定し、CT透視を身ながら針を進めていきます。病変部まで針が到達したところで、針を通して組織の採取を行います。組織の採取が終わったら胸部全体の撮影を行い、気胸などの合併症が起きていないかの確認を行います。

このように、CT透視下での椎体形成術や生検では、位置を確認しながら針を進めることができるため、正確かつ安全に手技を行うことができます。当院では、CT透視を利用した経皮的椎体形成術や生検などを年間20件ほど行っています。

■Dual Energy撮影
当院のCT装置では、撮影時に異なる2つの管電圧（80kV/140kV）を使用したFast kVp Switching方式でのDual Energy撮影が可能です。Dual Energy撮影では、仮想単色X線画像や物質弁別画像の作成、実効原子番号解析などが可能で、金属アーチファクトの低減や、腎機能低下患者への造影剤減量なども可能です。
図2-6は、大腿骨頸部骨折後の画像で、大腿骨に固定用の金属が入っています。通常のCT画像では金属アーチファクトのため周囲組織の評価が困難ですが、実効エネルギー(keV)を高くすることにより、アーチファクトが低減しています。

図2-7は、腎機能低下患者に対して造影剤減量投与を行った症例です。通常の撮影では、造影剤の減量により造影効果が低下してしまいますが、実効エネルギーを低くすることにより、従来と同等の造影効果を保つことができています。

MRI検査

【装置の紹介・特徴】

当院では現在2台のMRI装置（3Tと1.5T）が稼働しております（図3-1）。

3T装置では、SNRの向上により、高空間分解能画像を要する撮像や撮像時間の短縮が可能です。そのため当院では、検査部位や疾患に応じて装置を選択して検査を行っています。特に高空間分解能が必要とされる肩関節や肝臓、前立腺、乳房などの撮像は3T装置で検査をおこなっています。

一般的に3Tのような高磁場装置では画像不均一性という特有の問題がありますが、当院の装置では、、磁場均一度の範囲をより人体の形態に近い円筒型で最適化する「TrueFormテクノロジー」の搭載により、画像均一性が保たれ高画質が確保されています。また、オープンボアサイズが70 cmと広いため、圧迫感が大幅に軽減されました（図3-2）。　

閉所恐怖症の患者さんは優先的にこの装置で撮像するようにしており、姿勢保持困難な場合でも比較的自由な体勢での検査が可能なため、安静を保ちやすく不安の軽減にもつながります。
このように、MAGNETOM Verioでは3Tの高磁場により得られる高画質の画像と、様々な患者さんに対し不安感・不快感を解消する快適な検査環境の提供により、質の高い検査を実現しています。

1.5T装置では腹部・下肢MRA、膝関節、認知症診断支援のための頭部撮像などを優先的に撮像しています。Signa HDxtには脂肪抑制技術IDEALが搭載されており、脂肪抑制が困難な部位においても磁場不均一の影響を除去することで、今までに比べ均一な脂肪抑制画像が得られるようになりました。さらに一度の撮像で4つのコントラストを同時に取得できるため、時間短縮にもつながっています。

【特殊撮像について】

■体動補正シーケンス「Propeller、BLADE」について

MRIは撮像時間が長く、体動がある場合は明瞭な画像を得ることが難しいですが、この体動補正を使用することにより、動きの影響を抑制した画像を得ることができます（図3-3）。
当院では、救急依頼の頭部や、呼吸により腹壁が動いてしまう骨盤領域で使用しています。
　　　　　
■肝臓 EOBプリモビスト造影検査

従来、肝臓MRIの検査ではガドリニウム造影剤やSPIO製剤（リゾビスト）などが使用されていましたが、近年はEOBプリモビスト造影剤を用いた検査が主になってきました。EOBプリモビストはダイナミック撮影による肝腫瘍の血流動態の評価（造影剤投与後40秒、80秒、120秒後に撮影）と正常肝細胞に取り込まれることを利用した肝機能の評価（造影剤投与後15分後：肝細胞造影相）を一つの造影剤で行なうことができます。
　
典型的な肝細胞癌は、動脈相（造影剤投与後40秒後）で早期濃染、門脈相（80秒後）で肝細胞癌と肝実質が濃染し、平衡相（120秒後）では、肝細胞癌は造影剤が抜けていき正常肝細胞のみが濃染されます。肝細胞造影相（15分後）では肝細胞癌には造影剤は集積されず、正常肝細胞のみに集積されるため、明瞭に観察することができます（図３-4）。
　　　　　

マンモグラフィ

【装置の紹介・特徴】

当院にはデジタルマンモグラフィ装置が2010年（H22）6月に導入され、フィルム診断からモニタ診断へ移行しました（図４-１）。また、マンモグラフィ専用ビューア、バイオプシー装置、CADも導入されました。

この装置の仕様は、直接変換方式、ピクセルサイズは70μ、画像表示時間は通常多く使用する18×24�pで約10秒、24×29�pでは約15秒で画像が表示されます。撮影サイクルは、約30秒です。

この装置の特徴はスマートパドルシステムです。通常の圧迫板
の位置は図4-2 の位置ですが、スマートパドルシステムを使用しま
すと、図4-3 のように約2.5�p腋窩方向にシフトされ、それと同時に照射野の範囲も追従する機構となっています。今までのアナログシステムのときのポジショニングと大きく変わらず、あまり違和感なくポジショニングすることが出来ています。

　　　　　　　　　　　　　　
圧迫板の種類は三種類あり、通常多く使用される普通サイズ（18×24�p）、FPDと同じサイズ（24×29�p）、小乳房用サイズがあります。これら三種類の圧迫板を乳房の大きさにより使い分けています。アナログシステムではフィルムのサイズが普通サイズしかなかったため、大きい乳房の方は一度の撮影で入りきらず、2度に分けて撮影する場合がありました。しかし、FPDと同じサイズの圧迫板があることで、大きい乳房の方でも一度で撮影可能となります。

撮影後の画像データは、複数の同時送信が可能なので、画像サーバー、マンモサーバー、CADサーバーへ同時送信する設定としています。

【特殊検査について】

【マンモトーム生検】
当院には乳房専用の生検装置マンモトームが導入されています。当科では微小な石灰化の症例をマンモグラフィステレオガイド下で病変の位置を確認しながら行います。一回の穿刺で複数の組織を採取でき（図4-4）、傷跡も4mm程度と小さく縫合の必要がありません。

乳房厚が薄い場合、石灰化病変が皮膚に近い場合や胸壁に近い場合はマンモトーム生検が難しいことがあり、検査の適応を検討する場合もあります。

【乳管造影】

乳頭から血液のような分泌液がある場合などに乳管造影が行われることがあります。
分泌液の出ている乳管開口部に麻酔のゼリーをぬり、乳管から細い管を入れて造影剤を
注入しマンモグラフィを撮影します（図4-5）。

【乳がん検診のご案内】

放射線治療

【装置の紹介・特徴】

当院の装置は、リニアックのガントリ部にkV電圧のX線管球とフラットパネル検出器を装備しており、単発撮影や連続(透視)撮影だけでなく、3次元のコーンビームCT画像の撮影も可能なイメージガイド放射線治療(IGRT)用リニアックです。撮影した画像と治療計画時のCT画像を重ね合わせることによって、位置決め誤差を算出することができます。また、3次元のCT画像を撮影することにより、従来のリニアックグラフィやポータルイメージング画像では確認することが困難であった軟部組織まで判別できるので、より正確な位置決めが可能になりました。さらに、当院の治療寝台には6軸補正が可能なカーボンファイバー天板であるHexaPOD™ evoカウチトップが搭載されています。3次元のコーンビームCT画像を利用して算出した位置決め誤差値は6軸の情報を有しているので、HexaPOD™ evoと組み合わせることにより精度の高い位置決め補正を遠隔操作で行えます。そのため、定位放射線治療(SRT)において、これまで以上の高精度な位置決めを実現することができます。

【特殊な治療について】

当院で行っている特殊な治療としては、体幹部定位放射線治療(SBRT)があります。
体幹部定位放射線治療では主に早期肺癌や肝臓癌が対象となります。3次元的に多方向から病変部へピンポイントに放射線を集中させ、正常な細胞の損傷を最小限に抑えながら治療が可能です（図9-2）。1回に大線量を照射し、短期間で治療を行う治療方法で、1回の治療時間は30〜40分程度であり、4〜8回（1〜2週間）で治療が終了します。さらに、当院では治療当日に寝台上で4次元のコーンビームCTを撮影し、腫瘍の呼吸性移動を考慮した寝台位置補正を行っているため、より高精度な治療が可能です。当院では年間10〜15件ほど体幹部定位放射線治療を行っています。

乳癌術後の放射線治療は、術後再発の軽減や生存率向上のための大事な治療の一つです。しかし、左乳房の手術後の放射線治療では、心臓への被ばくの増加により、治療終了後に心筋梗塞等の虚血性心疾患が増加することが報告されています。

当院では、心臓への被ばくを低減させるため、吸気（息を吸った状態）での息止め照射を行っています。下図のように、吸気の照射では、息止めをしていない場合に比べて、心臓へ照射される範囲が減り、被ばくが抑えられているのがわかると思います。

また、当院では放射線治療の準備や放射線治療時に女性技師が対応することで、患者さんへの精神的負担の軽減に努めています。

核医学検査

■ ＰＥＴ

【装置の紹介・特徴】

当院は、会津地方で初めてPET-CT（Positron Emission Tomography-Computed Tomography：陽電子放出断層撮影法-コンピュータ断層撮影法）装置を導入した施設です（図7-1）。

この装置は、PET装置とCT装置が一体となった複合型検査装置で、一度の検査でPET画像とCT画像を得ることができます。PET画像は、体内代謝の状態を画像化した機能画像で、解剖学的な位置情報に乏しいという欠点がありました。そこで、空間分解能に優れた形態画像であるCT画像とFusionさせる（重ね合わせる）ことで、PET画像の欠点を補い、診断により有用な画像を提供することが可能となりました。

また、PET-CT検査は撮像時間が長いため、呼吸を止めて撮像することができません。そのため呼吸の動きにより、横隔膜に近い臓器の評価は場合により難しいことがあります。当院の装置は、撮像をしながら呼吸の動きを監視し、動きが大きい場合は装置が自動で判断して呼吸に同期した撮像を行う機能がついています。撮像方法は、通常の撮像と変わらないため、負担が増えることなく、より正確な画像を提供できます。（図7-2）。

【検査について】

当院はサイクロトロンを持たないため、放射性医薬品はデリバリーにて購入しています。そのため、現在はデリバリーにて購入可能な18F-FDGを使用した全身PET-CT検査を行っています。

平成22年4月より保険適用が拡大し、早期の胃がんを除くすべての悪性腫瘍に対し保険の適用が認められるようになりました（但し、他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない方に限定されます）。

■ RI

【装置の紹介・特徴】

当院の装置はSPECT装置にCT装置が搭載されたもので、SPECT撮像終了後、必要に応じてCT撮影を行うことができます（図8-1）。得られたCT画像のデータは、SPECT画像作成時の減弱補正に使用できます。CTを利用した減弱補正は体幹部の不均一吸収体における補正に有用です。

また、CT画像をSPECT画像と重ね合わせてFusion画像を作成することもできます。SPECT画像は機能画像であるため、解剖学的な位置情報に乏しいという欠点がありました。しかし、形態画像であるCT画像とFusionさせる（重ね合わせる）ことで、診断に、より有用な画像を提供することができます（図8-2）。

当院では、SPECT装置の重要な附属品であるコリメータを多数（5種類）揃えており、それぞれの検査に適したコリメータを使い分けています。例えば、131I使用の検査には高エネルギー用コリメータを、感度を重視する場合は高感度コリメータを使用し撮像しています。また、特殊なものとしてファンビームコリメータがあり、視野は狭くなりますが分解能と感度の両方が向上します。

【特殊検査について】

当院では、心筋、　脳血流、　骨シンチグラフィの３つで全検査数の９０％ほどを占めています。

当院の心筋血流シンチグラフィは、運動、又は薬物にて心臓に負荷をかけた状態で行う負荷心筋血流シンチグラフィを行っています。主に99mTcを使用し360度収集の円軌道にて撮像しています。心電図モニタリングを行い、心拍と同期させながら撮像しており、血流と壁運動の同時評価が可能です。また、201Tlを使用した心筋血流シンチグラフィではCTによる減弱補正を付加しており、補正有りと無しの画像を比較することで、減弱の影響を受けやすい下壁の評価に効果的です（図8-3）

脳血流シンチグラフィは123I-IMPを使用し、定性検査、又はARG法による定量検査も行っております（図8-4）。急性期の検査に対応できるようTcジェネレータを設置し、Tc製剤を使用したパトラックプロット法での定量検査も可能となっております。

骨シンチグラフィは悪性腫瘍骨転移の評価や潜在性の骨外傷の検出診断等に有効です（図8-5）。その他、Tcガス発生装置を設置しており、肺換気シンチが撮像可能です（図8-6）。また、ゾーフィゴ静注による去勢抵抗性前立腺癌の骨転移治療も行っています。

血管撮影

【装置の紹介・特徴】

当院にはBi-planeの血管撮影装置が導入されており、一度に2方向から透視、撮影を行うことができます（図5-1）。そのため、検査時間の短縮による検査効率の向上、造影剤量の低減による患者負担軽減に繋がっています。

また、この装置には拍動で動くステントを静止状態で観察できる「SCORE StentView +Plus（以下、Stent View）」という機能が備えられています。この機能により、ステント内でのバルーンによる再拡張を行う際のバルーンとステントの位置関係の把握やステントをオーバーラップさせる場合(複数のステントの端部を重ね合わせて留置すること)の位置確認を通常の撮影より正確かつ簡便に行うことができます。

図5-2は、ステント内をバルーンで再拡張を行おうとしている画像です。ステント内でのバルーン位置の確認のためにStentViewを行っている様子です。
このように、動いているステントを強調して静止状態で観察でき、正確なステント位置を把握することができます。

そして、息止めが不要でリアルタイムにDSAを撮影できるRSM-DSA（Realtime Smoothed Mask-Digital Subtraction Angiography）という機能も備わっています。この機能は、まず、Live像に対してsmoothing処理を行い、低周波領域のみの画像であるFuzzy Mask像を作成します。次に、Live像からFuzzy Mask像を減算し、血管および骨格・軟部組織の辺縁のみの画像(RSM-DSA画像)を作成します(図5-3)。そのため、DAと比較して、骨と重なる部分の血管がきれいに観察できます(図-4)。　　　　

さらに、当院では56インチのラージディスプレイを備えており、1つのモニタで透視画像や撮影した画像、心電図モニタ、さらにIVUSの画像まで見ることができます。それぞれの画像の大きさや出力位置も自在に変更できるため、検査に応じて手技しやすいレイアウト、画面の大きさに変更することができます。

【診療放射線技師の業務内容】

２名の技師で業務に付き、血管撮影装置の操作・撮影時のフレーミング・台帳の記入などを行っています。技師がフレーミングを行う施設は珍しく、ほとんどの施設では医師が行っています。そのため、技師にはフレーミングの“技術”が求められます。またIVRでは、被ばく線量が増えることで皮膚紅斑などの放射線皮膚障害の発生が懸念されるため、当院では３Gyを目安に医師へ被ばく線量の報告をしています。手技中は医師が手技に集中できるように、医師が求めている画像は何か・次に医師が何を行うかを常に考え、業務を行うことを心がけています。

■ アンギオ

【装置の紹介・特徴】

　当院には、汎用型血管撮影装置（Bi-Plane）が導入されており、主に腹部・頭部領域で使用しています。（図6-1）。この装置の特徴は、コーンビームCT（CBCT）機能が搭載されていることです。そのため、CT室に移動することなくCTを撮影することができ、VRなどの３D画像やMPR画像を作成することができます。
このCBCTを利用して目的の血管を三次元的に観察でき、また、画像を様々な断面で観察することもできます。

【腹部領域の治療の紹介】

肝細胞癌の代表的な治療として、当院ではTACE（肝動脈化学療法塞栓術）を行っています。治療の際は腫瘍への栄養血管を同定し、そこから選択的に抗癌剤を流し塞栓し、腫瘍を兵糧攻めにする必要があります。そこで、CBCTを利用して目的の血管を三次元的に捉え、画像を様々な断面で観察しています。またこの装置では、FPFL(Flight Plan for Liver)と呼ばれる血管追跡アプリケーションが使用可能であり、CBCTで得たvolume dataをFPFLで解析することで腫瘍の栄養血管を分かりやすく色分け表示させることができます（図6-2）。
このアプリケーションを使用することで治療手技の効率を向上でき、且つ栄養血管同定のための被ばく線量や造影剤量を減らすことができます。

【頭部領域の治療の紹介】

　脳梗塞（急性脳動脈閉塞）の治療として、当院ではPenumbra・Trevo・Solitaireなどを使用し、脳梗塞の原因となった血栓を回収し再開通を得るための治療を行っています。2011年に日本国内で薬事承認された血栓回収用デバイス「Penumbra」を用いた治療を紹介します。ペナンブラとは、ガイドワイヤーに沿って吸引用カテーテルを血栓がある場所まで運んでいき、そこで掃除機のように血栓を吸引して回収する器具のことです（図6-3、図6-4）。

使用方法は、まずガイドワイヤーを目的の部位まで進めていき(図6-5�@)、ワイヤーに沿って吸引用カテーテルを進めます(図6-5�A)。セパレータと呼ばれる血栓を掻き出す為のデバイスをカテから出し入れしながら(図6-5�B)吸引ポンプで血栓を吸引していきます(図6-5�C)。

手技中には随時血管のDSA撮影を行い、血管の様子を確認していきます。
血栓を回収し、DSA撮影で閉塞している血管の再開通が見られたら手技終了となります。
図6-6�@は左中大脳動脈閉塞に対して血栓吸引を行った時の画像で、治療後再開通が得られました（図6-6�A）。このペナンブラシステムを使用することで、より安全に細い血管へアプローチすることができ、脳梗塞の患者さんの予後を向上させることが期待されています。

【診療放射線技師の業務内容】

２名の技師で業務に付き、血管撮影装置の操作やサポート・画像解析・物品だし・台帳の記入などを行っています。またIVRでは、被ばく線量が増えることで皮膚紅斑・脱毛などの放射線皮膚障害の発生が懸念されるため、特に術中は被ばく線量を適切に管理し放射線防護の最適化に努めています。手技中は、診断に適した画像を医師へ提供および治療戦略を共有し、多職種とコミュニケーションをとりながら治療に貢献することを心がけています。

学会発表（2021年度）

2021.6.10-11　第71回日本病院学会
　　　　　　　　 　診療放射線技師による読影補助業務への取り組み
　　　　　　　　　AI画像再構成を用いた胸部CT検診の低線量化の検討

2021.6.12　第3回福島県CTテクニカルセミナー
　　　　　　　良い検査のためのエッセンス　：　腎機能

2021.6.25　 The 36th MICS
　　　　　　　　当院のPACSの現状と画像診断支援AIソフトウェアの使用経験

2021.6.25　第18回　福島核医学技術検討会
　　　　　　　当院における骨シンチグラフィ

2021.8.6　第35回　福島県核医学研究会
　　　　　 　当院における骨シンチグラフィ

2021.9.26　日本医用画像管理学会令和3年度第1回セミナー
　　　　　　 　医療被ばくの安全管理とシステム連携

2021.10.24　日本医用画像管理学会令和3年度第2回セミナー
　　　　　　　　線量管理システムの運用方法

2021.11.12　第37回日本診療放射線技師学術大会
　　　　　　　　胸部CT／胸部X 線画像における肺結節検出画像診断支援AIソフトウェアの
　　　　　　　　有用性の検討

2021.11.20　第7回　FANTA
　　　　　　　　前交通動脈瘤
　　　　　　　　脳動脈瘤をみるならCTAが最強No.1

2021.11.25　第103回会津画像研究会
　　　　　　　　頭部MRI〜虚血性脳卒中について〜

2022.2.19　第40回 福島県放射線治療懇話会
　　　　　　　自施設のRTPSを使いこなそう〜頭頚部

所属学会一覧

• 日本診療放射線技師会

• 福島県診療放射線技師会

• 日本放射線技術学会

• 日本放射線腫瘍学会

• 日本乳癌検診学会

• 日本消化器がん検診学会

• 日本磁気共鳴医学会

• 日本CT技術学会

• 日本IVR学会

• 日本心血管インターベンション治療学会　

• 日本核医学会

• 日本核医学技術学会

• 日本医療情報学会

• 日本医用画像管理学会

• 日本医用画像情報専門技師会

• 日本小児放射線学会

認定資格

• 放射線管理士

• 放射線機器管理士

• 医療画像情報精度管理士

• 臨床実習指導教員

• 画像等手術支援認定診療放射線技師

• 検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師

• X線CT認定技師

• 血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師

• 放射線治療専門放射線技師

• 核医学専門技師

• 放射線治療品質管理士

• 救急撮影認定技師

• 肺がんCT検診認定技師

• がん検診専門技師

• 医療情報技師

• 医用画像情報専門技師

• 第１種放射線取扱主任者

• PET研修セミナー修了技師

• 塩化ラジウム（Ra−223）安全取扱講習修了技師

• 放射性医薬品取り扱いガイドライン講習終了技師

保有装置一覧